わざと開けにくくしてあるキャップ
キャップというのは人間工学で語られることの多く、使いやすさについて分かりやすい事例になっています。
今回はある洗口液のキャップの事例です。家族からすごく開けにくいキャップがあるとは聞いていましたが、改めて見せてもらうと確かになかなか手ごわいキャップでした。
個のキャップが開けにくいのは当然で、販売者がわざと開けにくいつくりにしています。洗口液なので小さい子供が親が使っているのを見て、美味しそうだと思い間違って飲むことを防ぐために、小さい子供では開けられないようにしています。
本体のネジ切り部分に出っ張りがあり、キャップの爪が当たることでそれ以上回転しないようになっています。開けるために回転させるときは、二箇所の爪がない箇所をグッと握ってフタ全体を歪ませて、爪を外側に逃しながら本体の突起を乗り越えるようにします。
樹脂の弾性変形の特性をうまく使っているのですが、キャップそのものの強度も必要なため、それなりの樹脂の厚みがあります。それを握って変形させるのですから相当な力が必要です。キャップの高さがあるので変形量を多くとれますが、それでもペットボトルのキャップの背の高いものを握って変形させることを想像してください。力を入れて変形させながらさらに回転動作も必要です。指先強化トレーニングができますね。
使い方を説明するイラストはキャップの天面に描いてあります。これは悪くないと思いますが、成形で作っているので少し見づらい感じはします(仕上げをマットとツヤにしてより見えるように工夫されています)。写真は天井の照明器具が映り込むようにしました。
冒頭にも書きましたが、キャップは使いやすさの優劣が分かりやすい部分ですが、工業製品として量産性やコストにも大きく関わるところで、良いキャップを作ることは難しい部品と感じています。
キャップの独特の機構といえば、自転車向けのオイル製品のメーカーであるフィニッシュラインを思い浮かべますよね?。今度取り上げてみます。