複雑性保存の法則
お盆休みに普段使っているママチャリの後輪タイヤを交換しました。タイヤの側面が一部ほつれて内部のチューブが飛び出しそうになってから1ヶ月放置したまま乗っていたので、いい加減直さなければいけないと、この長期休みに気合を入れて挑みました。そうです。ママチャリのタイヤ交換には気合が必要なんです。
(仕事以上に?)気合を入れた結果ちゃんと治りましたが、2日に分けて合計5時間以上。こうなることは分かっていたんです。分かっていて、その通りになったことを書いています。
作業場所は会社の工作室(1階の土間っぽいところ)を借りたのですが、クーラーがないのです。連日の38度超えの猛暑でサウナに行かなくても整いましたよ。
週末に乗ることがあるロードバイクのタイヤもこのお盆に交換したので、つい比較してしまいます。ロードバイクならタイヤ交換は10分あれば十分。工具なしでホイールを外して、タイヤレバーは必要だけれど一旦タイヤを外して、チューブ替えて、タイヤをはめ直すだけ。でも、ママチャリはそう簡単にはいきません。

時間がかかった理由を振り返ると、こんな感じです。
- 慣れていない
普段やらない作業なので、外す部品を一つずつ確認しながら、さらに外す前に写真を撮りながら作業しました。油の付いた手でスマホ触ることに。 - 工具がいくつも必要
ナットを外すためにモンキーレンチ、樹脂カバーはプラスドライバー、ケーブルのフレーム固定はボルトとナットなので、裏のナットも押さえておくためにメガネレンチを探してきてと、下記記載のように部品数を極力減らしている割には、作業に必要な工具が多くて地味に大変でした。 - ドラムブレーキ+内装3段変速
ドラムブレーキのワイヤーまで完全に外すと更に面倒なことになるので、ホイールが簡単完全には外せません。さらに変速用のグリスまみれのピンは曲がりやすく、案の定曲げました(まっすぐなピンなので、なぜこんなに曲がりやすい素材を使うのだろう。もちろん意味があっての素材選択だとは思うけど)。ママチャリによっては、ロードバイクの構造に近い外装変速、リムブレーキのものもあります。買う時にそっちにしておけば良かったかな。 - 一つのボルトに多くの部品を固定
ホイールのハブの中央のボルトを使ってフレームに固定しているものは、ホイール、泥除け、荷台、スタンド。コスト重視になるママチャリではちょっとでも部品や加工部を減らしたい意図は十分理解できますが、一つのボルトに何でもかんでも固定しすぎじゃない?そのため、荷台や泥除けは力を加えて強引に曲げながら付け外し。金属の弾性をうまく使っているとも言えるけれど、正直言うと塑性変形しちゃっているよね。 - タイヤとチューブ
安いタイヤとチューブを探して買っているためか、リムとの嵌合がいまいちな気がしました。1回目はチューブが邪魔してタイヤがリムにきれいに収まっておらず、試し乗りしたらコト、コトとわずかに跳ねるのです。一旦空気抜いて、タイヤとチューブを慎重にはめ直してちゃんと走れるようになりました。
ママチャリのメンテナンス性の悪さに文句ばかり言っていますが、マチャリの構造自体は悪くありません。ドラムブレーキや内装3段変速は、ほぼメンテ不要で一般の人にはとても便利。実際、私も平日はママチャリで通勤や買い物をしており、そのノーメンテの恩恵をしっかり受けています。
結局のところ、「乗る人にとって簡単」という便利さの裏で、「直す人にとって面倒」という複雑さが残っているわけです。これもある意味「複雑性保存の法則」でしょう。ロードバイクは単純な構造のおかげでメンテは楽ですが、その分トラブル対応や日常メンテナンスは自分で背負う必要があります。一方ママチャリは、利用者は何もせずとも快適に乗れ、その裏で自転車屋さんが整備の面倒を一手に引き受けてくれているのです。
そんなわけで、記録的猛暑のお盆に、クーラーのない部屋で「ロードバイク乗りがママチャリの後輪タイヤ交換をする」という、相性の悪い組み合わせを体験しました。